。。人や土地との 運命的な出会いや。。
。。衝撃的な出会いがあるように。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。「物」との 運命的な出会いもある。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。僕と その「アフリカの布」の出会いも。
。。とても 「運命的」だった。。。。。。
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。。アフリカのいわゆるプリミティブアートに
。。とても熱中し出していたので。。。。。。
。。「かんかん」を始め そういったものがある
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。店や ギャラリーを よく 訪ねていた。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。その日は 渋谷のパルコの地下にある。。
。。ギャラリー・ロゴスで。。。。。。。。。
。。スエーデン人女性 アニタ・シュレイダーの
。。コレクションの展示即売が行われていた。。
。。彼女は 有名なアフリカのプリミティブ・アートの
。。コレクターで ヨーロッパで開かれるオークションに。
。。よく 顔を出して 気にいった作品を購入している。
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。。僕が ロゴスに 足を踏み入れた瞬間に。。。。。。。。
。。壁に 展示された「そのアフリカの布」は。。。。。。。
。。ある エネルギーをもって 僕を じっと 見つめた。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。わざと その布の視線に気付かないふりをして。。
。。他の 展示物を ながめていた。。それでもその布は
。。僕から視線をずらさなかった。。僕の背中にさえ。。
。。その 視線を 感じることが出来た。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。僕は 視野の端に その布を 捕らえながら。。。。
。。徐々に その布の視線に 僕の視線を合せだした。
。。見つめ合うだけで、 心臓が ドキドキ した。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。プショング族が やしの葉を使って 手で編んだ 布。。
。。何十年という歳月を経て 。。とても 深い味わいを
。。醸し出していた。。。吸い込まれそうなくらいに。。
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。。僕は アニタと いろいろな話しをした後 言った。。。
。。「この布 とても いいね」。。。。。
。。彼女は 答えた 。。。。。。。。。
。。「ええ 私も大好きよ」。。。。。。。。。。。。。。
。。「見てるだけで、元気が出てくるの。。」。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。そのデザインは 動いているのと錯覚するほど。。
。。躍動感がある。。そう、。ダンスしているような。。
。。踊っている。。。みたいな。。。。。。。。。。。。
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。。「買っていいかな?」。。。。。。。。。。。。。。
。。我慢できずに そう言った。。。。。。。。。。。。。
。。高価な「衝動買い」というより「衝撃買い」。。。。。
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。。アニタ は 微笑んで 店員に こう言った。。。。。
。。「This textile has just found a new owner」。。。
。。 えっ 。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。僕は 鳥肌が 立つほど ショックを受けた。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。「この布が 新しい持ち主を 見つけたわ。。」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。そうか 僕が こいつを見つけたんではなくって
。。こいつが 僕を見つけたんだ。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。だから 店内に入ってから 。。。。。。。。。
。。こいつの視線をずっと感じてたんだ。。。。。。
。。僕が生まれるずっと前から こいつは。。。。。
。。存在したんだし、 僕が死んでからも たぶん 。。
。。存在し続ける。。。。。。。。。。。。
。。そのあいだ、ずっと 誰といっしょに暮らすのか
。。「自分」で。。探してるんだ。。。。。
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。。 この瞬間、 この一日のために。。
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。。この旅はあったと思えることがある
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。。不思議に 導かれるように。。。
。。すべてが流れていく。。。
。。。。。。。。。。。。。。
。。もし あのときこうしてなければ
。。。。。。。。。。。。。。。。
。。ここには いないだろう。。。。
。。。。。。。。。。。。。。
。。この人には会っていないだろう。
。。この瞬間はなかったろう。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。
。。それを 旅の偶然とだけ。。。。
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。。呼んでいいものなのか。。
。。。。。。。。。。。。。。
。。運とだけ読んで。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。
。。いいものなのか。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。
。。果ての地を。。。。
。。願いながら。。。。。
。。それでも、旅は。。。
。。。。。。。。。。。。。
。。終わらない。。。。。
。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。
(沢木耕太郎)
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