半世紀近く、名古屋駅前を
象徴する庶民的なビルとして
親しまれた
「大名古屋ビルジング」が
2年余り後に
建て替えられることが
決まった

長年入居してきた店主たちは
「来るべきものが来た」
「いいビルだった」と
受け止めた。

中には建て替えとともに
閉店を決意する店主もいた






   - 朝日新聞(中京版)




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名古屋駅のロータリー前にある
「大名古屋ビルジング」
1962年に建てられた

僕と同じ歳ということもあり
なんだか親近感があったのに
2年後には
取り壊されるらしい

6階建てのピルは
当時は「高層ビル」と
呼ばれていた
周りに建物がないので、
遠くからでも
目印になっていたけれど

今では40階を超える
高層ビルが次々に
立ち並び 今や
「低層ビル」になって
しまった

僕は古いビルジングが
持つ雰囲気がとても好きだ

見ているだけで
昭和の香りが
漂ってくる

非効率な建て方を
しているだけに
温かみがあり
優しさを
醸し出している

そこにずっと立って
働く人を見守って
きたのだろう

近代は高く高く
早く早く と
効率化を追い求めて
きた

そうするうちに
あの頃 人々を
暖かくとりかこんでいた
大切な何かが
次第に失われて
いってしまったのだ









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