。。目の前で起きた光景に、友人は言葉を。。。。。
。。失っていた。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。彼女が打たれたものは、フレームの仲の。。。。。。
。。巨大なクジラではなく、それをとりまく。。。。。。
。。自然の広がりだったのだろう。。。。。。。。。。。
。。その中で生きるクジラの。。。。。。。。。。。。
。。小ささだったのだろう。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。そして一瞬ではあったが、。。。。。。。。。。。
。。彼女がクジラと共有した。。。。。。。。。。。。
。。時間 だった。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。ずっと 後になってから、。。。。。。。。。。。
。。彼女はこんなふうに語っていた。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。「東京での仕事は忙しかったけど、。。。。。。。
。。本当に行って良かった。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。何が良かったって?。。。。。。。。。。。。。。
。。それはね、私が東京であわただしく。。。。。。。
。。働いている時、その同じ瞬間、。。。。。。。。。
。。もしかすると、アラスカの海で。。。。。。。。。
。。クジラが飛び上がっているかもしれない、。。。。
。。それを知ったこと。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。東京に帰って、あの旅のことを。。。。。。。。。
。。どんなふうに伝えようかと考えたのだけど。。。。
。。やっぱり無理だった。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。結局何も話すことは出来なかった」。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。僕達が毎日を生きている同じ時間。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。もうひとつの時間が、確実に、。。。。。。。。
。。ゆったりと流れている。。。。。。。。。。。。
。。日々の暮らしの中で、心の片隅に。。。。。。。
。。そのことを意識できるかどうか。。。。。。。。。
。。それは、天と地の差ほど大きい。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。
星野道夫
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。。言い様のない不安にいつも。。。。。。。。
。。とらわれていた、小学生のころ。。。。。。
。。その頃は、その不安・恐怖を。。。。。。。
。。「言葉」という概念で表現する。。。。。。。
。。すべもなく、ただただ、その。。。。。。。
。。「怖いもの」に向き合うことしか。。。。。
。。できなかった。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。その「恐怖」はいつも形を変えて。。。。。。。
。。僕の前にそっと忍び寄ってきた。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。寝る前はいつも、このまま朝起きれない。。。。
。。ような気がしてなかなか寝付けなかった。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。死。。という形の「終わり」も。。。。。。。。。
。。当然理解できなければ。。。。。。。。。。。。。
。。「生きる」という行為の意味合いも。。。。。。。
。。分らず。。。ただ、。。。。。。。。。。。。。。
。。訳の分からない何かに。。。。。。。。。。。。。
。。怯えていた。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。そのことは 小さな子供にとっては。。。。。。
。。絶えがたい拷問であると同時に。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。今振り返ってみれば、ある意味において、。。。
。。天よりの最高のプレゼントでも。。。。。。。。
。。あったと思う。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。僕がまだ、小学生の低学年の頃。。。。。。。。。
。。毎年、家族で和歌山の白浜という。。。。。。。。
。。海岸に連れていってくれた。。。。。。。。。。。
。。ちょうど、花火大会の頃で。。。。。。。。。。。。
。。昼は一日、海で海水浴や磯遊びをして。。。。。。。
。。夜は花火を見たり、自分達で花火をやったり。。。。
。。という毎日だった。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。昼間はまばゆいばかりの海岸で。。。。。。。。。。
。。海と戯れたあと。。。。。。。。。。。。。。。。
。。家族で夕日を見たり、新鮮な魚を。。。。。。。。
。。食べたりして、それは それは。。。。。。。。。
。。叫び出したいくらいに楽しい毎日だった。。。。
。。ところが、、。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。夜になると、闇夜から何かが 。。。。。。。。。。
。。僕にこう囁く気がした。。。。。。。。。。。。。
。。「散々楽しんだって、どうせ、終わりが。。。。。
。。くるんだ、この旅も、おまえの人生も。。」。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。僕はもう 怖くって、悲しくって。。。。。。。。
。。叫び出したかったけれど、。。。。。。。。。。。
。。とにかく、こぶしを握り締めて。。。。。。。。。。
。。ただ、ひたすら、朝になって 。。いつもの。。。。
。。何事もなかったような、日常が訪れるのを。。。。
。。待っていた。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。そういった ある種の幼児体験を。。。。。。。
。。重ねていくうちに 自然と僕は。。。。。。。。。
。。全てのこと、 生きることそのものの。。。。。。
。。はかなさ や せつなさ に 。。。。。。。。。
。。とても敏感な少年になっていった。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。全てのことには 終わり がある。。。。。。。。
。。という 残酷な判決 にどう。。。。。。。。。。
。。向き合っていけばいいのかを。。。。。。。。。。
。。いつも頭の片隅で。。。。。。。。。。。。。。。
。。考えていた。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。ただ、そうした 脆い感覚も。。。。。。。。。。
。。歳を重ねるにつれて だんだんと。。。。。。。。。
。。鈍くなっていき、いつしか 。。。。。。。。。。。
。。あの言い様のない不安も。。。心の片隅に。。。。。。
。。追いやられてしまっていた。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。僕が社会人になってしばらくしたころ。。。。。。。
。。両親が東京にいる僕を訪れにきた。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。ある日 僕は車で両親を。。。。。。。。。。。。
。。横浜に連れていった。。。。。。。。。。。。。。
。。中華街、元町、山下公園 など。。。。。。。。。
。。一通りの観光コースを回ったあと。。。。。。。。
。。外国人墓地の高台を車を置いて。。。。。。。。。
。。両親と僕でゆっくりと坂を歩いているとき。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。また こうした時間はいつかは。。。。。。。。。
。。終わってしまうんだ。。という あの感覚が。。
。。だんだんと 蘇ろうとした。。。。。。。。。。。
。。その時。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。ふと、沈み行く太陽の先に眼をやった。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。すると、そこには 富士山が。。。。。。。。。。
。。ゆったりと 横たわっていた。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。ものすごい量の「情報」が。。。。。。。。。。。
。。僕と富士山を結ぶ空間から、。。。。。。。。。。
。。一瞬で。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。僕の中に流れ込んできた。。。。。。。。。。。
。。それは富士山という風景そのもの。。。。。。。。
。。というよりも、富士山と僕を結ぶ「関係」。。。。
。。が僕に与えてくれた「啓示」のようなものだった。。
。。一瞬で、全てが分ったような気がした。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。それは「ずっと流れる」「ずっと続く」という。。
。。ような「永遠」という概念に近いものだった。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。それ以降 僕にとっては「富士山」は。。。。。。
。。「永遠」の象徴になり、。。。。。。。。。。。。
。。そして、。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。「移り行くもの」の中にこそ。。。。。。。
。。「何か変わらぬもの」が。。。。。。。。。
。。存在する事を、確信することが。。。。。。。。
。。出来るようになった気がする。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
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