山を深く閉ざしていた
雪が消えると
いっせいに木の芽が吹く
桜は入学シーズンに
きっちり合わせて
咲き競う


むせかえるような
新緑の五月を過ぎて
来る日も来る日も
降る梅雨となり
ある日、雷が
なり響き
翌日からかんかん
照りの夏が・・・・
といった感じなのだ




  池本喜巳



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小学校の入学式
校門にたどりつく
まで
見事に咲き誇った
桜並木の下を
近所の同級生と
手をつないで
歩いていく


あの頃
桜の花は
ずいぶんと
頭上高くに
あったと
記憶している


淡いピンクの
雲のような存在が
オーラのように
僕たち
小学生を上から
優しく
包んでくれて
いた


桜の花と
小学校一年生


この2人は
ねたましくなる
ほど
完璧な
仲なのだ





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