遠くまで
うろこ雲続く
彼はもう涼しげな
襟もとをすりぬける
日に焼けた
鎖骨からこぼれた
そのパワーで
変わらずにいられると
信じてた
またひとつ夏が終わる
音もたてずに
暑すぎた夏が終わる
音もたてずに
深く潜ってたのに


- 草野正宗




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今年最後の
屋外プール


人の数より
水面を飛ぶ
トンボの数が
多くなり


セミの声より
コオロギの声が
大きくなると


夏が秋へと
季節のバトンを
渡す


もう少し
ゆっくりと
していけば
いいのに、


周囲の人の
そんな
声を聞くと


おしまれるくらいが
ちょうど
いいんです


また来年
会えるじゃ
ないですか


そう言いながら
夏は
立ち去る



僕達は
それぞれの
人生の中で

幾度
夏に出会うことが
出来るのだろう?










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