20世紀の時間概念には
過去、現在、未来という
遠近法があった
過去よりもちょっとましな
現在の先にはすばらしい
未来がある
そのすばらしい未来に
近づいていこうとするのが
私たちの生きがい
だったのです
ところが21世紀に入った
現在ではデジタル放送とか
携帯とか次々に
便利なものが出来上がって
もう達成すべき理想の未来
なんか無いような
気がするんです
現在と未来がくっついて
しまっている
- 森村泰晶
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ネイティブアメリカンが
白人のしている腕時計を見て
それが何であるか
全く理解できなかったそうだ
何度も何度もそれが
何であるか説明を聞かされた
後、ようやくそれが
何であるか理解できた
ネイティブアメリカンは
みんなで笑い出して
その物体にあだ名をつけた
ペパーゾクワズィク
コチコチと音は出すけど
大して役にたたないもの
彼らにとって
時を知らせるものは
朝、昼、晩、
そして、
春夏秋冬
人間の一生、
さらにゆっくりと
移ろい行く宇宙のリズム
そのような
壮大で豊かなもので
あったのだろう
そのような
時間の美しいリズムを
時計という機械で
時間、分、秒と分けていく
これは自然のリズムではなく
機械のリズムだ
効率よく物を生産
するために発明された
ペパーゾクワズィク
次第にその機械は
人が本来もっている
ここちのいい生態リズム
そして宇宙リズムを
侵食しはじめるように
なってしまった
僕たち個人が
近代社会の中で
失ってしまった
豊かな時間との関係
それを今、再び
取り戻さなくては
ならない
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