。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。たしかに魂は見えないところに。。。。

。。かくれているが、。。。。。。。。。。。

。。もしほんとうに存在するならば。。。。。。

。。それは外側の形の上に現れずにはおかない

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。お茶は「わび」の精神の蔭にかくれ、。。

。。お能は「幽玄」の袖に姿をくらまし。。。。

。。説明つきで感心させられるなんて。。。。。

。。死んだ芸だ。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。柳宗悦は、。。。。。。。。。。。。

。。あまりにも洗練されすぎ。。。。。。。

。。形式化された茶道に反発して。。。。

。。民芸の理念をうちたてる事に成功した。

。。しかし、先に理論だけが突っ走って、。

。。作品が追いつけなかった。。。。。。。

。。嫌いがないわけではもない。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。兼好法師は徒然草の中で、。。。。。。。

。。螺鈿は少し剥げ落ちたところに。。。。

。。風情があるといい、。。。。。。。。。

。。不完全の美を愛した。。。。。。。。。

。。「完全なものはいいにきまっているが、

。。完全すぎると情緒に欠ける」と。。。。

。。この感想は、私が未だ。。。。。。。

。。20歳にもなってない頃、。。。。。

。。東京のブリジストン美術館で、。。。。

。。青木繁のあの勇壮な、。。。。。。。

。。「海の幸」を観た時の感動と、。。。

。。相通じるものがあるのです。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。



白州正子

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。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。「ものの形」「デザイン」に。。。。

。。はまったことがあった。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。形には意味があり。。。。。。。。

。。心が宿るようだ。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。ヨーロッパ特にイタリアや。。。。

。。ドイツなどのシャープな。。。。。

。。ラインに一時期 引かれ。。。。

。。エルデコを初め。。。。。。。。

。。様々なデザインの美を。。。。

。。取り上げている雑誌を。。。。

。。読みあさった。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。

。。欧州のデザイン誌の。。。。。

。。何かの特集号を。。。。。。。。

。。眺めていたある日。。。。。。。

。。僕は「それ」に出会った。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。「それ」は今まで僕が。。。。。。

。。見なれてきたデザイン・色・。。。

。。質感などとは全く。。。。。。。

。。かけ離れた存在感で。。。。。。

。。僕に迫ってきたのだ。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。デザインという生易しい。。。。。

。。表現を軽く超越した。。。。。。

。。何かを「それ」は。。。。。。。

。。僕にずっしりと送りつづけた。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。フランスのデザイナーの。。。。。

。。自宅を取り上げた記事で。。。。。

。。何枚かの写真の中に。。。。。。。

。。「それ」は写しだされていた。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。冷たい感じの石でできた。。。。。

。。テーブル、漆喰の壁。。。。。。

。。天井から吊り下げられた。。。

。。ハロゲンライト。。。。。。。。

。。真っ赤なソファー。。。。。。。

。。決まりの。。。。。。。。。。。

。。いわゆるセンスのいい。。。。。。

。。部屋の片隅に「それ」は。。。。。。

。。ひっそりと佇んでいた。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。僕は目をこらして。。。。。。。。

。。吸い込まれるように。。。。。。。。

。。じっと見つめた。。。。。。。。。

。。いったい何だろう?。。。。。。。

。。ずんぐりとした。。。。。。。。。

。。四本足の動物のよう。。。。。。。

。。まるで今にも。。。。。。。。。。

。。のしのしと歩きだしそうだ。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。年代を経ているものらしく。。。。

。。ざらついた表面はまるで。。。。。。

。。周囲の光を吸いとってしまう。。。。。

。。小さなブラックホールのよう。。。。。

。。でもあった。。。。。。。。。。。

。。後になって「それ」は。。。。。。

。。アフリカのセヌフォ族の。。。。。

。。椅子であることが。。。。。。。。

。。判明した。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。今の常識ではとても考えられない。

。。ユーモラスな形をしている。。。。。。

。。象の足のようにとてつもなく太く。。

。。アンバランスな脚。。。。。。。。

。。丸いカーブを描いたライン。。。。

。。まるで。。。。。。。。。。。。。

。。生物のいきづかいが。。。。。。。。

。。聞こえてきそうな。。。。。。。。。

。。躍動感があった。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。今になって思えば。。。。。。。。

。。僕が「それ」を通じて。。。。。。

。。感じたものは。。。。。。。。。。

。。形やものの向こう側にある。。。

。。「それ」を生出した人達の。。

。。精神性・魂。。。。。。。。。

。。だったのだろう。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。

。。効率化された社会から。。。。。

。。どうあがいても。。。。。。。。。

。。生み出すことのできない力や。。

。。精神性を「それ」は。。。。

。。放っていたのだ。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。

。。それ以降 僕はものの形。。。。

。。やデザインを通じて。。。。。。 

。。物理的な物の向こう側にある。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。なまなましく。。。。。。。。。

。。ざわめくような。。。。。。。。

。。魂の躍動と。。。。。。。。。

。。対話する感覚を。。。。。。。。

。。少しづつ。。。。。。。。。。

。。取り戻していったのだ。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。




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