どうしても
ブラジルでしたかったことは
あの「イパネマの娘」を
発祥の地でもあるバー
ガロータ・ヂ・イパネマで
聴くこと

観光客向けに
ショーアップされてしまって
いると思いきや
こじんまりとしたバーは

地元の人も
入交じり
ずっと続いてきたであろう
日常のさりげない
雰囲気に
つつまれていた





   - 八木亜希子



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ジョアンジルベルトの
曲を聞いて

まるで新聞を
つぶやくように
読んでいるようだ
とマイリス・デイビスは
評したそうだ

確かに
声高に
何かを主張する
でもなく

ただ波とか風の音みたいに
気がつけば
そこにある感じの
音楽だ
いつから
はじまったのかも
わかりにくい

ロックでもジャズでも
ポップでも
なくボサノバという
ジャンルを作りだしたのは
すごいではないか

僕も好きとか嫌いという
判断ではなく

ずっとそこにあって
変な主張もしなくて

ただそこにある
というありかたも
あっていいのではないかと
教えてもらっているような
気がしている

ま、長い話を短くすると
僕たちは少し
歳をとっちゃたと
いうことかも
しれないけどね、

歳を重ねていく
楽しさを見つけるのは
人生において
とても大切な
才能なのです







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