いにしへの
奈良の都の
八重桜
けふ九重に
にほひぬるかな
(伊勢大輔)
小倉百人一首にも
納められている歌である
九重は宮中の意
昔の奈良の都で咲いていた
八重桜が
今日は宮中で
咲いていることだ
奈良の八重桜が
京都の宮中に献上された際
即興的に
読まれた歌である
-- 小澤實
**********
卒業、入学
移動、入社
4月は
始まりと終わり
そして変化の
季節である
そのような季節を
祝福するかの
ように桜が咲く
まるで
いたずらっ子が
物陰に隠れて
わっ と
大人を驚かす
ように
一気に咲き
そして
一気に散る
電車や車の中から
外の風景を
眺めていると
山奥や
街から離れた
川辺の土手沿い
にも桜並木が
あり
そこでは
人に見られようが
見られまいが
おかまいなしに
咲き誇っている
僕はそんな桜を
見るたびに
自分一人がその
桜並木の下で
ゆっくりと
好きなお酒を
飲んでいる姿を
妄想してしまうのだ
************************************
|