トロント王立音楽院で
おこなわれた
彼の講演で
学生たちが耳にしたのは
次のような勧めだった

すなわち
一人きりでいること

瞑想のなかに沈潜し

それをいわば
恩寵として
うけとめるように
ということだった

グールドは
この孤独の勧めを

その数か月前
シカゴで行われた
最後のコンサート以来

ずっと終わりまで
守り通したのだ



- ミシェル・シュネデール



**********



台風とともに
猛暑はあっというまに
去ってしまった

暑さに翻弄された
2010年の日本人は
身体と心を急に
新しい季節にあわせて
いかなければならない

身体にとって衣替え
が必要であるように

精神にとっても
衣替えは必要で

それは、読書や音楽と
いったもので
おこなわれる

僕自身は温度によって
聞きたい音楽が
どんどん変化していく

気温が下がると
身体でずんずんと
受ける音楽ではなく

心に染みいる
内省的な音楽を
求めてしまう


音楽によって
人は世界とつながる
こともできるし
また
孤独になることも
できる

孤独というと
どうしてもネガティブ
なイメージで
うけとられるが、

精神にとって
一人になる
ということは

大ぜいでいること
以上に大切なことだ

つながりたいと
いう欲求が強い時

逆に、一人になる時間を
しっかりと持つように
すればいい

そうすれば
僕たちはすでに
大切なものと
つながっていることに
気づくことができるから










************************************







[Forward] [Essays Home] [Backward]